ヨックモックミュージアム 開館記念第6弾
ピカソ・ミロ・バルセロのセラミックーカタルーニャへの愛ー
Devotion to Catalunya: Ceramics of Picasso, Miró, Barceló

展覧会名:ピカソ・ミロ・バルセロのセラミックーカタルーニャへの愛ー

監修:松田健児(まつだ けんじ)氏(慶応義塾大学教授)

会場、主催:ヨックモックミュージアム(東京都港区南青山6-15-1)

会期:
2026年2月10日(火)〜2026年12月20日(日)
月曜休館(ただし月曜が祝日の場合は翌平日)
10:00-17:00 (入館は閉館の30分前まで)

後援:
スペイン大使館/インスティトゥト・セルバンテス東京
港区教育委員会

特別協力:株式会社ヨックモック

関連催事:
本展の開催に伴い、会期を通して記念講漬会、ギャラリートーク、ラーニングプログラム「ビカソdeアート」、学校連携プログラム等を開催します。最新情報は公式サイトでご確認ください。

入場料(税込):
一般 ¥1,400
大学生 ¥1,000
高校生以下無料
※学生の方は学生証等の在籍が確認できるものをご提示ください。
※障がい者手帳をご提示の場合、ご本人と付き添いの方1名は無料。
※団体割引をご希望の方は、条件をご確認ください。

同時開催(上記入場料に含まれます):
常設展「ヨックモックコレクション 2026」

概要

ヨックモックミュージアムでは、「ピカソ・ミロ・バルセロのセラミック―カタルーニャへの愛―」展を開催します。本展は、監修にスペイン美術研究者の松田健児先生をお迎えし、スペインを代表するパブロ・ピカソ、ジュアン・ミロ、ミケル・バルセロのセラミック作品を中心に、彼らがカタルーニャという土地といかに深く結びついていたか、カタルーニャに寄せたそれぞれの思いのかたちをご覧いただく展覧会です。

カタルーニャは地中海に接するスペイン北東部に位置する自治州で、スペイン内戦における独裁政権下、さまざまな文化を弾圧される厳しい状況にあっても自治を希求し続けた歴史を持つ土地です。

パブロ・ピカソは、その青春時代の一時期をカタルーニャの州都バルセロナで過ごし、スペイン内戦を経て自発的亡命者となったのちも、第二の故郷とも言えるカタルーニャへの協力を惜しみませんでした。ピカソの後を追うようにしてバルセロナからパリへ出たジュアン・ミロもまた、カタルーニャのモンロッチが自らの創作の源泉であり原風景であると語っています。そして、マジョルカ島フェラニチ出身のミケル・バルセロと、人生の後半を同島のパルマ・デ・マジョルカで過ごしたミロとは文化や風景を深く共有しています。加えて、ピカソとミロはバルセロにとって敬愛すべき同郷の先達であり続けています。セラミックという同じプラットフォームにあって、まったく異なる三者の表現は、それぞれのカタルーニャへの愛という共通項によって結びついています。

また、本展覧会では、ミケル・バルセロが信楽の陶芸家である古谷和也(ふるたに かずや)とともに制作したセラミック作品を国内の美術館にて初公開いたします。スペイン 20世紀を代表するピカソ、ミロ、そしてその次世代を担うバルセロという彩りゆたかな三巨匠によるセラミックの表現をお楽しみください。

 

 

 

1章 パブロ・ピカソのセラミックとカタルーニャ

ピカソは、スペイン内戦が勃発して以降、フランシス・フランコによる独裁政権と対立し、フランスの地で自発的亡命者として生きることとなります。スペイン中央政府に協力することはなかった一方で、青春を過ごしたバルセロナと、そこに生きる友人たちへの援助は惜しみませんでした。1955年に同地で開催された「スペイン美術の先駆者と巨匠たち」展には、ピカソの友人である彫刻家マノロ・ウゲの所蔵するピカソのセラミック作品が出品されました。本章では、現在はバルセロナ・ピカソ美術館に所蔵されているマノロ・コレクションと同エディション、同タイプの作品をヨックモックミュージアム所蔵作品より展示します。また、1957年にピカソ自らがバルセロナ市に寄贈した16点のセラミック作品、そして1982年にピカソの妻ジャクリーヌ・ロックによってバルセロナ・ピカソ美術館に寄贈されたセラミックのエディション作品についても、当時の公文書や、戦後カタルーニャでのピカソ作品受容に貢献したガスパール画廊の資料とともに紹介します。

  • パブロ・ピカソ
    《横向きのヤギの頭部》A.R.145 1952年
    ヨックモックミュージアム蔵
  • パブロ・ピカソ
    《魚》A.R.133 1951年5月9日
    ヨックモックミュージアム蔵
  • パブロ・ピカソ
    《4人の踊り子》A.R.313 1956年2月22日
    ヨックモックミュージアム蔵

 

2章 ジュアン・ミロのセラミックとカタルーニャ

スペイン内戦中、一時フランスに戦禍を逃れたジュアン・ミロは、ドイツ軍のフランス侵攻から逃れるため、スペインへの帰国を決意します。ピカソと同様にスペイン共和国政府に賛同したミロは、フランコ独裁体制下のスペインでは十分に活動することがかないませんでした。そのような環境で、1944年以降、古くからの友人である陶芸家ジュゼップ・リュレンス・アルティガスとの共同制作をきっかけに、セラミックもまたミロにとって重要な表現手段のひとつとなっていきます。カタルーニャでなされたミロのセラミック制作には、ジュゼップだけでなく、その息子であるジュアン・ガルディも大きく貢献しました。本章では、ミロとアルティガス父子が共同で制作したセラミックのほか、ミロによるブロンズ彫刻やアルティガス父子自身のセラミック作品、そしてこの時代のミロとカタルーニャの結びつきを物語るポスター作品等を展示します。

 

    • ジュアン・ミロ、ジュゼップ・リュレンス・アルティガス
      《あるモニュメントのためのプロジェクト》1956年
      京都国立近代美術館蔵
    • ジュアン・ミロ、ジュゼップ・リュレンス・アルティガス
      《女》1962年
      滋賀県立陶芸の森 陶芸館蔵
    • ジュアン・ミロ
      《人物と鳥》1966年
      アサヒグループ大山崎山荘美術館蔵
      ※期間限定で展示(前期)

 

3章 ミケル・バルセロのセラミック 信楽での試み

ミケル・バルセロは、現代スペイン美術を代表する芸術家といって過言ではありません。2021年から翌年にかけて、長崎、三重、大阪と巡回した「ミケル・バルセロ」展をきっかけに来日したバルセロは、2022年と2023年に続けて信楽を訪れ、当地の陶芸作家である古谷和也とともに作陶にいそしみました。本展では、バルセロが信楽で制作したセラミック作品を、国内の美術館で初めて展示します。あわせて、挿絵本、版画など、バルセロによる様々な制作活動の一端を示す関連作品を紹介します。また、世界的な名声を誇るサッカークラブであるFCバルセロナは、設立75周年をむかえた1975年、記念ポスターの制作をジュアン・ミロに依頼しています。クラブは設立125周年を迎えるにあたり、このポスターにバルセロを起用しました。本展では、この両者のポスター作品もともに展示します。

  • ミケル・バルセロ、古谷和也
    《信楽の自画像》
    2022年、個人蔵
  • ミケル・バルセロ、古谷和也
    《頭の皮》
    2023年、個人蔵
  • ミケル・バルセロ、古谷和也
    《死者の舞》
    2023年、個人蔵

 

監修者

松田健児(まつだ けんじ)氏(慶応義塾大学教授)

熊本県生まれ。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業、学習院大学大学院博士後期課程退学、マドリード・コンプルテンセ大学博士課程単位取得退学。慶應義塾大学商学部教授。専門はスペイン美術史。著書に『スペイン美術史入門』(共著、NHK出版)、『もっと知りたいピカソ改訂版』『もっと知りたいミロ』(ともに共著、東京美術)、『スペイン 危機の20世紀』(共著、慶應義塾大学出版会)、『ダリ作品集』(監修・共著、東京美術)。