ピカソの「セラミック」について①

「セラミック」とは、粘土を焼いて形を固定させる素材であり、古来より器や調理器具に用いられてきました。日本語では一般に「陶器」や「焼き物」という言葉を用います。またこの素材を制作する技術は「陶芸」と呼ばれています。日本の陶芸家や陶工たちは、成形や絵付け、焼成の卓越した技術を駆使しながら、独自の様式と美学とを展開させてきました。しかし、ピカソによる焼き物は、絵付けや成形に、独自の絵画的ないしは彫刻的な創意と遊び心を取り入れた芸術作品であり、古くから培われてきた陶芸技法を逸脱する特徴も持ちます。当館では『ピカソ:コート・ダジュールの生活』展を2020年10月25日~2021年9月26日まで開催しており、ピカソが戦後、情熱を燃やしたセラミック制作の舞台となった南フランスのコート・ダジュールでの生活や、セラミック制作を通して日常生活にもたらそうとした変容と、作品に込められた平和への願いをご紹介しております。今回展示されている、100点近い数の作品の特徴は様々で、ピカソがこだわった独自の創意をお楽しみいただけます。

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