ヨックモックミュージアム 開館記念第5弾
ピカソ・セラミック-「見立て」の芸術
Picasso Ceramics: Art of MITATE
展覧会名:ピカソ・セラミックー「見立て」の芸術
監修:大髙 保二郎(早稲田大学名誉教授)
ゲストキュレーター:東海林 洋(ポーラ美術館学芸員)
会場、主催:ヨックモックミュージアム(東京都港区南青山6-15-1)
会期:
2024年10月29日(火)〜2025年12月28日(日)
月曜休館(ただし月曜が祝日の場合は翌平日)、年末年始
10:00-17:00 (入館は閉館の30分前まで)
後援:
スペイン大使館
インスティトゥト・セルバンテス東京
港区教育委員会
特別協力:株式会社ヨックモック
入場料(税込):
一般 ¥1,200
学生(中学生以上) ¥800
小学生以下無料
※学生の方は学生証等の在籍が確認できるものをご提示ください。
※障がい者手帳をご提示の場合、ご本人と付き添いの方1名は無料。
※団体割引をご希望の方は、条件をご確認ください。
概要
ヨックモックミュージアムのコレクションをさまざまな視点から紹介する展覧会の第5弾として「ピカソ・セラミックー『見立て』の芸術」展を開催します。
ピカソのセラミックを「形の転用の実験」と位置付けることで、日本文化における伝統的な視点である「見立て」との共通性を見出します。
1章 生命を吹き込む
ピカソがヴァローリスで好んで取り組んだ主題の一つが「器―鳥」でした。彼はセラミックで生き物を造形する手法について「生命を与える」と語っています。
ろくろで成形された日常の器は、ピカソの手によって命を得てフクロウや鳩になりました。
パブロ・ピカソ《小さな森梟》A.R.82,1949年
パブロ・ピカソ《フリルで飾る梟》A.R.292 ,1955年
2章 手のひらの闘牛場
セラミックの形を活かして、円形の器を円形の闘牛場に見立てています。
皿の見込みで繰り広げられる闘牛をリム※1の観客たちが囲み、器の内側の限られたスペースが、ピカソの手によって大きなスケールの空間となっていく様をお楽しみください。
※1:縁が一段上がった平皿のこと
パブロ・ピカソ《観客がいる闘牛》A.R.104,1950年6月11日
3章 テーブル-見立てのトートロジー
見立てとは、「何か」を別の「何か」になぞらえるものです。
ピカソは時に、食べ物をのせるための平皿に食べ物を描き、壺に壺の絵を描きました。
絵画であれば伝統的な「静物画」ですが、器という日用的な形をもとにすると、あるモノに同じモノのイメージを与えるという同じことのくり返しが生まれ、「トートロジー(同語反復)」としての見立てとなるのです。
パブロ・ピカソ《両手と魚》A.R.214,1953年
4章 変容する顔、古典への見立て
丸い皿の形を人間の顔に見立て、さまざまな表情や個性を表現した「顔」は、ピカソのセラミック作品を代表するシリーズの一つです。
リム※1を髪に見立てた表現や、装飾模様を施したもの、丸皿そのものを頭部に見立てた作品などバリエーションは多岐にわたります。器の同じように壺を人物に見立てた作品も、器形をもとに身体を表現しているものと言えるでしょう。
当館2階の最大の見せ場であるガラス張りの空間を活かして、生命力に溢れた「皿=顔」のシリーズをダイナミックに展示します。
※1:縁が一段上がった平皿のこと
パブロ・ピカソ《牧神パンの頭部》unique,1947年10月11日
パブロ・ピカソ《女の顔》A.R.192,1953年7月7日
パブロ・ピカソ《踊り子と楽師たち》A.R.114,1950年
○同時開催○
特別コーナー
リノカット版画によるポスター「ヴァローリス・コレクション」初公開!
ピカソは、セラミック制作の本拠地としたヴァローリス市の依頼により、1951年から1964年までの同市の陶器市などの催事ポスターを、リノリウム・カット(通称リノカット)の版画技法で制作しました。当館がこのたび新たに収蔵したこれらの版画全揃い(ヴァローリス・コレクション)より、10点を公開します。
監修者
大髙 保二郎(おおたか やすじろう)氏(早稲田大学名誉教授)
香川県生まれ。 マドリード・コルプルテンセ大学哲・文学部大学院美術史に留学(1973~76 年)。専門はスペイン美術史、バロック美術。跡見学園女子大学、上智大学、早稲田大学各教授を歴任。現在、早稲田大学名誉教授。著作:「ゴヤ『戦争と平和』」( 新潮社)、「ベラスケスー宮廷のなかの革命者」( 岩波新書)、「ピカソ作品集」(東京美術)、「スペイン美術史入門」( 共著、NHK ブックス)、「堀田善衞を読むー世界を知り抜くための羅針盤」(共著、集英社) ほか。共編・訳書に「ゴヤの手紙 上・下」( 岩波文庫)。ピカソ関連の展覧会監修「ピカソ 愛と苦悩 ー《ゲルニカ》への道」(1995 年)、「ピカソ 天才の誕生」(2002年)、「ピカソ・クラシック 1914-25 」(2003 年)、「ピカソ-躰とエロス-」(2004 年)など。会田由翻訳賞(2011 年)、地中海学会賞(2019 年)。ヨックモックミュージアム学術顧問。
ゲストキュレーター
東海林 洋(しょうじ よう)氏 (ポーラ美術館学芸員)
2011年より現職。専門はピカソのキュビスムを中心とした西洋近現代美術史。主な担当展覧会として「ルドン ひらかれた夢-幻想の世紀末から現代へ」(2018年)、「シュルレアリスムと絵画-ダリ、エルンストと日本の『シュール』」(2019-2020年)、「ピカソ 青の時代を超えて」(2022-2023年)、「モダン・タイムス・イン・パリ 1925—機械時代のアートとデザイン」(2023-2024)など。主な論文に「『悪魔祓いの絵』再考:ピカソ《アヴィニョンの娘たち》におけるゴーギャンと黒人芸術の役割」、「ピカソと人類の美術」(三元社、2020年)など。第24回鹿島美術財団賞(2017年)。
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