ピカソの「セラミック」について②

ヨックモックミュージアムでは、従来の器としての機能や伝統的様式・技術からだけでは捉えられない革新性に注目していただくために、ピカソの焼き物を「セラミック」と呼びたいと思います。それはピカソにとって、絵画と彫刻の延長線上にありながらも、かたちと色の新しい可能性を探るための、1つの新たなる芸術ジャンルでした。

 20世紀美術を代表する巨匠 パブロ・ピカソは、1946年に南フランスの町ヴァローリスを訪れ、陶芸家ラミエ夫妻と出会ったことをきっかけに、翌年の夏より本格的なセラミック制作に取り組むようになりました。それまでは難解な作品で知られていたピカソも、南仏の暖かい空気を享受しながら、職人たちとの触れ合いを通して、優しく柔らかい風合いの焼き物を作り始めるようになります。

現企画展では、ピカソの焼き物づくりとその背景を紹介しながら、ピカソが生きていた日常のうつりかわりと、ピカソの焼き物が日常生活にもたらそうとした革新とを、時代の流れとの関係のなかで描き出します。

 当館での展示が皆様にとって、巨匠ピカソの新しい側面を発見するとともに、「セラミック」の芸術的な可能性を再発見する機会となりましたら幸いです。

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