『公式SNSアンバサダーによる座談会』開催

当館公式アンバサダー様4名による当館について語る座談会を開催しました。

今回のテーマは一番好きな作品です。

Theme3:企画展「ピカソのセラミック-モダンに触れる」で一番好きな作品は?(後半編)です。

 

山下さん:「発想が好き」という作品だと、《泉》がお気に入りです。壺に壺を描いちゃうというのがまず面白いし、女性の姿と「La source(泉)」という文字によって、アングルの《泉》のオマージュだとわからせるのが良いですよね。ピカソのオマージュといえば、《ラス・メニーナス》のシリーズが大好きなんですよ。バルセロナのピカソ美術館に、《ラス・メニーナス》だけが60枚近く展示されている展示室があるんですが、元のベラスケスの絵と同じ構図のものもあれば、王女様だけとか女官だけとか、とにかく描きまくっていて。特に好きなのは《ピアノ》という作品で、犬に足を乗せた少年だけをピックアップして、元の絵にはないピアノを描き足して、少年がピアノを弾く姿にしちゃってるのがすごい発想だなと。

 

吉田さん:元を知らなければそういう絵だと思いますよね。

 

山下さん:絶対そうですよね。犬も、完全にピカソテイストのファンシーなわんちゃんになっていて(笑)。そういうオマージュって、元の作品を知っているからこそ楽しめるし、さらに《泉》は、ピカソにしかできない再構築という感じで最高ですね。よく見ると、注ぎ口のところに水がちょろちょろと流れている表現もあったりして、細かいなと思います。

 

東さん:確かに《泉》は、あそこまでやるか。。凄いなと感じました。注ぎ口のところ、水垂れてましたよね。

 

吉田さん:思いついたことをみんな盛り込むのですね。

 

山下さん:やった方がいいかな、やらない方がいいかな、みたいな迷いはなさそうですよね。

 

深津さん:やるんでしょうね。

 

東さん:ピカソの失敗作とかあるんですかね。。。⁉

 

吉田さん:ピカソは14万8000点と言われている生涯の作品数なので、とにかくどんどん制作してみたんでしょうね。連作にしても、興味を持ったテーマは来る日も来る日も同じテーマで描いたのではないでしょうか。

 

深津さん:このシリーズのなかで、「これで完成」という感覚ではなく、全部が楽しくて仕方がないといったそんな感じでしょうかね。

 

吉田さん:おそらく私たちであれば一旦、“考えてみる”という場面でも、ピカソは、“まず描いてみる”という印象です。ディエゴ・ベラスケスの《ラス・メニーナス》(1956年)に対しても、あれは画家とモデルという構造で、ベラスケスは自分自身も描き込んでいるのですが、ピカソはその中に“画家とモデルの関係性”のヒントを見出したようで、“画家とモデル”というテーマで多くの作品を描いています。

私にとってピカソは、“考える=描く”人というイメージがあります。

 

 

深津さん:東さんは、どうですか?

 

東さん:話は戻るのですが、“そういう見方してなかったぁ、なるほど~。”と思ったのは、

3章の「ダンス/運動:セラミックは踊る」のお皿に書かれた「人」は展示を進むと増えてきますね。確かに。。。

 

山下さん:そうなんです!だんだん増えていくんです。

 

東さん:確かに人数色々あるなぁと思っていましたが、丸い皿の中に二人または四人が描かれているのが好きです。あれって岡本太郎の《明日の神話》(1968年-1969年)下の方に描かれている人に凄く似てるなぁと思って

 

東さん:渋谷に行くとつい《明日の神話》を見てしまいます。

 

吉田さん:手先や足先の、勢いのある表現などが似ていますよね。

 

東さん:そうそうそう。どっちがどっちってわけではないのですが、あの白い棒人間が凄く気になってて。。。あれも色んなセラミックの技法を試しているじゃないですか。色を変えてみたり釉薬を変えてみたり。青みがかったところ(蝋抜きを施す際に、呈色酸化物を混ぜたため、それに接する釉薬がかけられた部分が焼成後に反応し、緑色の後光のようなものが表れている)を表現したり、古代の焼き物のように素焼き部分を活かしたり、様々な技法をさりげなく取り入れてつくっていますよね。だから、2階の作品54点が常設されるスペースに行っても、同じ技法の皿を見つけたりすると「あ、あの技法だ!」と嬉しくなってしまいます。

 

深津さん:確か岡本太郎ってピカソに会いに行ったんですよね。本も出版されてますね。

(参考:岡本太郎「青春ピカソ」新潮文庫)

 

吉田さん:ものすごいエネルギーのぶつかり合いだったでしょうね。。。

 

深津さん:凄そうですよね。。。。一方で、ダンスの踊り方は完全にマティスを意識していますよね。

 

東さん:そうそう4人になるとわかりますよね。マティスにかなり影響されているというのがわかります。(展示室で参考作品として比較しているアンリ・マティス《ダンスⅡ》1910年、《生きる悦び(生きる幸福)1905-06年》より)

 

深津さん:あとで改めて確認しに行きましょう。

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