第5回から続く)

作品のモティーフに込められたピカソの思いを探る「地中海人ピカソ」展、いよいよ最終章になりました。「4章 人間愛とヌード賛美」をご紹介します。

 

ピカソの創作の興味の中心には、生涯にわたって「人間」がいました。中でも、愛し合った女性たちは様々に表現され、セラミックでも多くの作品にその魅力的な姿を留めています。

まず、第二次大戦後に共に南仏に移ったフランソワーズ・ジロー。ピカソが花の姿の象徴的なヌードで描いたことで知られていますが、セラミックでも水差しにその姿をみることができます。ふっくらした瓜実顔とグラマラスなスタイルが愛らしく表現されています。

また、フランソワーズが去った後にピカソのミューズ(美神)となったのが、マドゥーラ工房で働いていたジャクリーヌ・ロックです。細くて長い首、はっきりした目鼻立ちと横顔の美しいラインを持つ黒髪の彼女は、ピカソの生涯最後のパートナーとなりました。

1章には二人の肖像画(版画)が並んで展示されているので、ぜひ顔を覚えて、3章でその姿を探してみてください。

 

個人としてのつながりをもつ「人間」だけではありません。堂々とした大型の花瓶には、そのシンプルな形態を生かして豊かなヌードや薄衣の姿を描き出し、女性の存在への原始的ともいえる賞賛を形にしました。

 

以上、駆け足で本展をご紹介しましたが、会場でひとつひとつの作品と向き合って、ピカソと共に地中海に思いを馳せていただけると幸いです。

次回からは、大髙保二郎氏監修による展示作品紹介へと続きます。

 

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